エレクトロニクス実装技術 2015年4月号(Vol31 No.4)掲載記事
 Andreas Reinhardt  SEHO Systems GmbH                    
安部可伸      (株)アンベエスエムティ

真空に代わるマルチ高圧リフローシステム
〜ボイドレスにとどまらない各種のメリット〜
1.はじめに 
パワーエレクトロニクス、航空電子システム、医療技術あるいは自動車分野等において、はんだ付けの際に生ずるボイドを含む接合部に、温度差などに起因する大きな応力が印加されると、はんだ接続信頼性に問題が生じます。これにより、性能が低下し用途が制限され最悪の場合、部品が破壊されます。

パワー部品の利用が増大し、電子部品の出力密度がますます高まるにつれて、無欠点はんだ接続が求められています。ボイド(多くは、はんだ付けの際に除去されなかったフラックス構成成分からの気泡) が、電気伝導率および熱伝導率を下げ、発熱につながります。また、ボイドは、はんだ接続の信頼性を損なう結果、電流と熱が局部に集中することによって、電気的熱的特性に悪影響を与える可能性もあります。さらに、鉛フリーはんだはボイドの増加につながり、粘性が高くなります。鉛フリーはんだが導入されることにより、これまで長年知られてきたボイドの問題がさらに重大になりました。ここに、ボイドの形成は再現可能なプロセスではないという、きわめて重大な認識があります。
ボイドの形成を最小限に抑えるために、IPC A 610 クラス 1、2 および 3 規格に従い、BGA 部品の場合、X線画像で表示した場合、1個のはんだバンプ当たり最大 25 % (面積比)のボイドの含有が認められています。接続面のマイクロビアなど、設計上のボイドは、ここからは除外されています。このような場合、メーカーとユーザーの間で検査基準を取り決める必要があります。これまでのところまだ許容されるボイド率が指定されていません。 BTC (ボトム ターミネーション コンポーネント) にも同じことが当てはまります。はんだ被覆率が 50 % 未満の場合、放熱時に問題になります。また、SMT 標準部品のはんだ接続にはまだガイドラインがありません。しかし、クラス 3 の用途では、企業は多くの場合、IPC A 610 の基準に従っています。この基準では、はんだ接続部の体積に対して、ボイドの割合を部分的に最大 10〜15 % にすることを要求しています。
2.プロセスおよび材料の影響
ボイドの割合は、さまざまな処理により異なります。たとえば、はんだぬれ速度などが影響します。特に鉛はんだ合金の場合、必ずしも簡単に実現できるものではありません。はんだ付け温度には上限があるため、しばしば、はんだ付けの時間を長くすることにより調整され、これにより同じ入熱と同等のはんだ濡れを実現できますが、はんだ付けプロセスの動特性は影響を受けます。溶融はんだの流動速度が低下し、フラックス残渣の排出が遅れ、ボイドが形成されやすくなります。適切な溶剤を含むはんだペーストおよび良好な濡れ特性のPCB表面金属化によって改善が可能です。
パワーコンポーネントのはんだ接続においては、電気と熱の伝導率が均一であることが、機能と耐久性に大きな影響を及ぼします。ボイドと液体を含むことにより、表面積をできるだけ小さくしようとする表面張力のため、溶融はんだ表面ははんだ量、ランドサイズ、はんだギャップの高さに応じて収縮します。理想的な場合、小さなボイドは球状になりますが、より大きなボイドははんだ接続高さが制限されているため、コンポーネントまたはチップを局部的に持ち上げます。はんだ接続高さにおけるボイドの分布が均等でないか、あるいは複数の小さなボイドが集まってより大きなボイドになることによって、通常、はんだ付けされたコンポーネントが傾斜します。傾斜が大きくなると、電流と温度が不均等となり、特に熱機械的なストレスが増大します。このため、フラットなはんだ接続を達成するため、はんだペースト印刷量を最適化する必要があります。例としまして、はんだペーストを十字型に印刷することにより、比較的優れた結果が得られます。
また、適切なレイアウトによって、ボイドを減らすこともできます。特にはんだマスクのデザインに注意する必要があります。非ソルダマスク定義デザイン (NSMD:Non Solder Mask Define Design) の場合、環状レジストの幅とプリント基板トレース接続部の幅が大きくなりすぎないようにする必要があります。これとは反対にソルダマスク定義レイアウトの場合、パッドがマスクによって明確に定義されるため、不均一性は生じません。また、ランド設計は、コンポーネントと PCB パッドの直径が同一となり、これにより不必要な機械的ストレスがかかって、はんだ付け箇所に亀裂が生じないように設計されていなければなりません。
同様に、PCB や BGA 自体の歪みも、PCB の材料が近年、この点で改良されているとはいえ、悪影響を及ぼします。
これらの措置はすべてある程度まで、ボイドの割合を減らすことに役立ちますが、完全にボイドを無くすことはほぼ不可能です。ほとんどボイドレスのはんだ接合を実現するために、これまでは、液状はんだ中に閉じ込められた空気とフラックスガスを真空吸引して取り除く真空リフロープロセスが使用されてきました。

3.真空は万能か?

一般的に、専門家ははんだ付けプロセス中に真空を目的に合わせて使用することが、液状はんだ中のボイドを完全に取り除く唯一の方法であると考えていました。当然、真空プロセスには、本質的な欠点がいくつかあります。真空ポンプと真空フィーダーの技術的コストが非常に高くなることは別にして、真空プロセスでは熱移動のために対流加熱を使用することができません。さらに、PCB の材料や各種部品が真空で強力に脱気され、特に一部の電解コンデンサでは密封した液体を含むため、真空プロセスに全く耐えられません。一般的に、多くの部品では、真空でどのような影響が出るかは明らかになっていません。さらに、ラベルまたはソルダレジストの下に気体が包含されている場合、レジストが剥離する可能性もあります。
しかし、真空プロセスでしばしば発生する欠陥は飛散したフラックス残渣やはんだボールによる汚染です。飛散フラックス残渣が著しい場合は、基板をクリーニングする必要もあります。真空プロセスにおける、強制的なボイドの膨張化により、溶融はんだが飛散しソルダーボールとなり、基板の汚染や、短絡の可能性もあります。さらに、部品の下にはんだボールが飛散した場合、後でクリーニングして取り除くことはできません。
4.高圧下におけるはんだ付け
ボイド防止には周囲の圧力差が重要であるという事実に基づいて、真空はんだ付けの原理をより高圧下でも利用できます。
第一段階の高圧下リフローでボイドが生じた場合、ボイドを取り除くには、一旦大気圧に低下させることで十分です。そして、第2段階の高圧化でボイドを圧縮したまま、固化させます。SEHO 社は「 MaxiReflow HP 」はんだ付け装置でこの方法を採用しました。本装置は対流加熱と特殊な加圧モジュールを組み合わせて、ほとんどボイドの無いはんだ接合を実現しました。
「MaxiReflow HP」の予熱は従来の対流加熱装置と同様、 6 段階の上部および下部加熱ゾーンを使用しますが、リフロー加熱エリアでは圧力室が、2 段階の対流加熱ゾーンと一体化されています。
このソリューションは、真空装置に比べて、圧力によるより高い対流効果による均一加熱はんだリフロー(温度均一化効果)など、メリットがいくつかあります。これにより、従来の真空に弱いコンポーネントを使用することができ、通常の温度プロファイルの形成が問題なく実現できます。圧力室は、総容積が 240 リットルで 最高4.2 気圧の加圧用に設計されているため、各種用途に合わせた十分な柔軟性を持っています。加圧雰囲気は、酸化を防ぎかつ濡れ性を高めるために、窒素ガスによって行われます。

そのプロセスは、まずソルダーペースト上に部品を搭載した基板を圧力室に入れる前に、窒素雰囲気(1気圧)下で昇温融解、リフローします。次にこの最初のゾーンで、液状のはんだに最大 4 気圧が印加されます。同時に、対流とクォーツ赤外線加熱の併用によって、安定した再現可能な温度条件が提供されます。対流加熱のみではアルミ電解コンデンサ温度のみが突出します(アルミコンデンサは赤外線を反射し、対流加熱では逆にアルミの高い熱伝導率により真っ先に昇温します)。圧力は短時間の後に急激に再び下げられ、それにより、既存のボイドが排除されます。

次に基板は圧力室の 2 番目の対流ゾーンに移動し、もう一度高圧がかけられます。このゾーンの最終温度は、固相線より低く設定されているため、はんだは高圧力下で凝固されます。これにより、最後にまだ残っているボイドもはんだ接続部で、約1/4の体積となり凝固します。
はんだが凝固した後すぐに、圧力が下げられ、実装基板は冷却ゾーンに移動します。
重要でないアセンブリの場合、圧力室を作動させずに装置を稼動することもできます。
この場合、基板は従来のリフローはんだ付けプロセスを実行し、追加のスペースは不要です。

この装置によるさまざまなテスト手順により、事前に取得した、肯定的なラボ試験の結果を確認できました。特に、プロセスの動特性により、非常に高い効率が得られ、真空プロセスよりも高い柔軟性を提供します。真空プロセスの場合、圧力範囲は1 ? 0 気圧の間で推移しますが、本方法では2段にわたる1 〜 4 気圧加圧ゾーンによって明らかにより大きなボイド収縮変化を実現しました。
 
写真3 従来のリフロー方式と、ZEHO の高圧リフロー方式のボイド比較
 
 
表1 温度曲線(左目盛)&圧力変化(右目盛) 
 
より詳細な資料をお送りしますので下記までご連絡下さい。
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担当:安部 可伸

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